本日も、過去にプレイしたゲームの感想を書こうと思います。

本日は家族計画。このゲームは今から約1年前にプレイしたゲームですが、これも結構記憶に残っています。

まず、家族計画の登場人物達は、皆日陰者です。それぞれ複雑な事情を抱え、一人じゃどうしようもなくなってしまった者達が一つの家に集い、集団生活を行なう。それだけならルームシェアであって家族ではないのですが、それぞれ複雑な事情を抱えているというので、家族という肩書きを隠れ蓑に使う。

赤の他人同士が隠れ蓑とはいえ疑似的に家族となる、それがこの家族計画です。

ただ、察しの良い方は気付くでしょうが、家族とはそんな肩書きだけのモノではありません。家族とはつまり、赤の他人ではないのです。自分が家族と思った相手が家族で、場当たりに遭遇した相手を家族と認識するのはとても難しい。家族はそんな簡単にできていない。作中でも、家族という言葉に対する捉え方の違い、またそれぞれが持つ心の壁などから衝突やすれ違いが起きています。

そんな他人達が心を通じ合わせ、真にお互いを家族と認識していく、きつい話もありましたが、最後はとても心温まる作品でした。




キャラ別感想



 主人公。家族の中で一番家族という言葉に意義を感じていただろう人物。当初、家族計画に反対だったのは、司自身が家族という言葉に深い意味を見出していたからでしょう。なんだかんだで誰よりも家族を大切にし、どのルートでもその形を保とうとした司は情深いと私は思います。
 また、当初のどこか壁を持っていた司も私は好きです。人を所詮他人と区別し、確固として自分を守ろうとする。本来なら折れても仕方ないような境遇をしているのにこうも強く生きられるんだなと、今でも思います。



青葉
 高屋敷の長女。家を存続していくため、仕方なく家族計画を受け入れたものの、ちっとも家族だと思っていなかった女。最初から冷徹で、誰に対しても無関心でそれでいて厳しい。そんな青葉が誰よりも厳しく当たったのは、自分の領分を侵そうとする末莉。全部通してプレイした後にそのことについて考えると、青葉は自分の中の幸せだった過去を保ち、偽りの優しい祖父を守るために、一番自分の心に触れてきそうだった末莉を排除しようとしたのだと思います。あとは、末莉の姿が自分とは間逆に見えたというのもあるでしょう。
 ルートに入るまではとことん冷たい女でしたが、その姿は頑なで、ある種の生きる強さが垣間見えました。
 また、ルートに入ってからの青葉はヒロインの中で誰よりも情深かった。自分が認め、自分を認めてくれる相手に誠心誠意尽くすその在り様は、今まで青葉が生きてきた孤独な人生と、内に秘めた情深さを現わしているようでとても好きです。




 高屋敷の二女。準は内気ではあるものの、青葉と同じくらい家族計画に非協力的だった。しかし青葉と違うところは、義理があれば義理で返す。そして決して人を攻撃しない。行なっている仕事とは裏腹に、倫理、道徳を重んじていたように思えます。恐らく、家族計画に入る前からすでに大切なものを持っていたのではないかと。家族計画は準にとっては司に誘われ仕方なく入ったものに過ぎない。準が当初守りたかったのは、孤児院だった。しかし家族計画の面々を真に家族だと思うようになってしまった準は、春香に対する裏切りを自分で許すことができなかった。元から準が外道ではないというのもあるでしょうが、その行為を準は家族という存在に対する裏切りだと思ってしまったのではないかと思います。
 人の手料理というものを食べられなくなってしまった準が、ようやく口にすることができた料理、それは家族と認めた相手が作ったものだった。準のエンディングは、家族計画の中で一番家族という形が存続された形だったように思えます。



春香
 高屋敷の三女。どこまでも能天気だが、純粋で無垢なムードメーカー。この春香がいたおかげで、青葉や準が醸し出していたギスギスオーラが緩和されていたように思えますwしかし、春香が背負っていたものはどの家族よりも暗いものだった。レイプされた女がレイプした男の子供を出産、その子供こそが春香という、壮絶の出生秘話。春香が密入国という危険を冒してまで日本に来た理由は母親に会うためだということを考えると、あまりに悲惨で救いのない話だったと思います。そして何より、春香は自分を押し殺すことができる良い子だったことが余計に痛々しい。いつも元気に見えてこんなに重いものを背負い、重い覚悟をしていたのかと驚愕させられました。
 家族計画の中で、誰よりも潜在的な芯の強さを持っていたように思えます。



末莉
 高屋敷の末っ子。末っ子らしからぬ気配りと、末っ子らしい弱さを持った子。末莉に関しては本当に見てて危なっかしかったです。彼女の在り方を見てると、いつか青葉と衝突することが目に見えてましたし、何より社会という荒波に最も打たれ弱そうに見えたからです。歳が若いというのもあるでしょうが、末莉はそれを抜きにしても儚い感じがしました。家族計画に一番賛成し、最後までそれにしがみつこうとしたのは、誰よりも家族が欲しかったから、孤独に耐えられなかったからなんだろうなと思います。
 そして、末莉は家族環境も劣悪でした。生みの親は今話題のバカ親と言うべきでしょうか、後先考えないSEXをし、生んだはいいものの邪魔で、その結果夫婦仲も冷え、離婚と共に子供を捨てる馬鹿親。しかし末莉はそんな二人と過ごした過去を美化し、必死にその過去を励みにして、最悪な育ての親の元で耐えてきた。凄まじいですね。
 しかし私が思うに、だからこそあれだけ放っておけないオーラを出していたのかとw青葉が末莉のことを魔性の女だと言うシーンがあったのですが、まさしくその通りだと思いますw私も最初のプレイでは末莉がどことなく放っておけなくてやってるうちにいつのまにか末莉ルートに入ってましたからw



真純
 高屋敷の母親。初登場場面が橋での自殺、その後は結婚詐欺の男の言葉にたじたじと、完全に頼りない雰囲気を醸し出している真純さん。この人はなんというか、人を信じすぎるというか、自分を保つ芯がないというか、そんな感じの人でした。ただ、家族計画では末莉に次いで賛成派。真純さんはたぶん、近くに人がいると強く在れる、自分を保ってられるんだろうなと思います。ただ、家族計画の参加者で本来なら信頼の置ける相手である司の制止よりも、結婚詐欺確定である男の甘い誘惑にぐらついた真純さんを見てると、信頼ってなんだろうって思いますw真純さんは騙されやすいというよりは、自分を欲してくれる人に行っちゃうというタイプなのでしょう。
 そんな真純さんですが、それこそ自分を欲してくれる相手にはとことん尽くしてくれる人でした。司が炎上し崩れた家の瓦礫に下敷きになった際、我が身を省みずに救いだしてくれたその姿は、この人にもこんな強さがあるんだなという驚きを感じました。真純さんはたぶん、誰よりも女という感じで、男の期待に精一杯応えてくれる良い女なんだと思います。




 高屋敷の父親。家族計画の立案者。登場人物中、一番の変人。あまりにキャラが強いため、序盤中盤のシリアスシーンではことごとくいない人でしたwまぁその時期は我に帰った寛いわく、狂乱期だったらしいので仕方ないでしょう。そして狂乱に至った理由は、会社倒産と破産、借金を抱えたため家族と別れる決意をしたため、らしいです。家族計画の立案者の癖に、すでに家族を持っていたというある意味裏切り者。家族計画の終了を宣言した時、司に殴られたのも無理はありません。しかし、終了するに至った理由は、寛が自分の家族に戻りたいから、というだけではなく、高屋敷という家が既に中国マフィアに狙われ、寛の力では及ばない段階まで来てしまったためです。家族の安全を第一に考える、ということを考えると、寛は確かに父親でした。




まだキャラはいるのですが、とりあえずメインの高屋敷一家だけにしておきます。



続いて、印象に残ったシーン。



印象に残ったシーンその1、家出し空き地の土管に引きこもった末莉を説得する司

 このシーンは、司がつらい社会、現実とどう立ち向かってきたかなどを末莉に語り、叱咤激励するシーンでした。司の言葉で印象的だった言葉は、

「生きてて、何が悪い。生まれてきて何が悪いんだよ生まれちまったものは、生きるしかないだろ? なんとかして生きるしかない。このつらい世の中を。一人であっても。渡っていくしかないんだ。」

「親は俺をいらなかったかも知れないけどな、俺自身は俺が必要なんだって」

 この二つ。親に捨てられた(と思っている)司にとっては、こと想いこそがこれまで生きてこれた理由であり支柱だったんだろうな、と思います。生みの親を失い、引き取ってもらった親戚の家は最悪、末莉と同じ境遇で、それでも生きてきた司だからこそ、末莉を説得できたんだろうなと。




印象的だったシーンその2、炎上する家、末莉が死んだと思い自失する司を庇った青葉

 このシーンにいきつくまで、青葉はずっと冷たい人間だと勝手に思い込んでいました。しかし、その青葉が自分の身を省みず司と末莉を炎から庇った。衝撃的なシーンでした。その時の言葉の一つとして、

「司、生きることは、問答無用なのよ」

というのがあります。これは、青葉がこれまでどんな思いで生きてきたか、そして生きることの意義、強さの意味などを内包しているように思えます。






印象的だった(?)シーンその3、真純に付きまとう結婚詐欺の男の電話に対して寛の応対

 これは面白かったwwwwいうなれば、ヤクザの事務所にいたずら電話してる感じw

「この電話番号は、ただいま貴様のようなイエローモンキーに対しては一切使用されておりませーん! クソおかけになった電話番号を、もう一度そのミニマム脳味噌と節穴EYEでクソお確かめの上、クソ改めて……って真純君ではないか」

このセリフが何より面白いw





まだまだ印象的だったシーンはあるのですが、挙げるとキリがないのでこの辺にします。





続きを書きます。壊れかけていたキーボードを買い換えました。



好きなシーン。



好きなシーンその1、最悪の親、末莉を守る高屋敷家

 末莉ルートで、末莉の里親となっている親と話をつけるため家に招いた話です。この末莉の親はもうそれはそれはクズで、その息子も末莉をレイプしようとする最低野郎でした。そんなクズ親から、それぞれの形で末莉を守ろうとする、援護しようとした高屋敷家はもはや家族だなと思いました。




好きなシーンその2、春香、最初で最後の親孝行

 春香を母親に会わせてやることにした司の粋な計らい。しかし、春香の母親は春香の存在すらタブーなので名乗ることは決して許されない。すぐ近くにいるのに絶対に埋まらない距離、このシーンはとても切なく、しかし感無量でした。



好きなシーンその3、真純、弱い自分との決別

 真純さんがようやく結婚詐欺の男の呪縛から逃れられた瞬間。司という伴侶を得た真純さんはもはやその程度の男に騙されるような器じゃなかった。この人の欠点といえる欠点はそこだけで、他は完璧で幸運にも恵まれているという高スペックw弱かったはずのキャラが実は強キャラだったという展開は燃えてきます。



好きなシーンその4、青葉の本当の過去

 好き、というにはかなり悲しいシーンなんですが、青葉の本当の姿というのが最初に現れたシーンなので私としては好きです。青葉が大事にしていた祖父との思い出、しかし本当はその祖父すら自分に優しくなかったという、相当哀れなシーンです。しかし、そんな哀れな過去すら、青葉にとっては唯一外敵がいなかった穏やかな日々だった。自分のアイデンティティーを守るために自分に嘘をつく、こういう人間の行動原理は奥が深い。



好きなシーンその5、家族計画再結集

 これは他のルートでもあるのですが、ここで言うのは準ルートでの再結集です。春香がヤクザから持ち去った薬を無断で売りさばき、家族を危険にさらした準。しかしそれは孤児院存続のためだったが、孤児院はすでに手遅れだったという悲しい展開でした。準に残ったのは、汚しただけで何も得ることができなかった両手のみ…のはずなのですが、準には確かに残っているものがありました。それは、準が自分達のためにどんなに頑張っているかを知っている孤児院の家族、そして、準をすでに家族と認め、とっくに赦している家族計画の家族。
 この準ルートこそが、家族計画のタイトルを見事なぞっているように思えます。




 家族計画は私の中の評価では、名作となっています。一癖も二癖もある社会の弾かれ者達が集い、本当の家族を成す。すごいテーマだと私は思います。




家族計画
D.O.
2001-11-02